マイナンバーと公的給付金の受取口座の誤登録による個人情報の漏洩が相次いだ問題で、国の個人情報保護委員会が7月19日、マイナンバー法に基づき、同じく国の行政機関であるデジタル庁への立ち入り検査を始めたと報道されました。

立ち入り検査に踏み切ったからには、その結果が「お咎めなし」となるのは、よもやあり得ないでしょう。再発防止や個人情報の適切な取り扱いを求める行政指導ですとか助言、もしも法に違反する行為が判明すれば是正勧告、場合によっては命令が発せられる可能性もあります。

報道では、総務省や関係自治体などへの立ち入り検査についても「国の省庁であろうと地方自治体であろうと可能性は排除しない」との方針を示したとか。さ、委員会の腕の見せ所です。国民の不安の解消につながるかどうかはともかく、徹底検査をしていただきたいと願っています。

ところで、マイナンバー法は、正式には「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」といいます。いやな予感…条文を見てみました。そうです、第1条は;

 「この法律は、行政機関、地方公共団体その他の行政事務を処理する者が、個人番号及び法人番号の有する特定の個人及び法人その他の団体を識別する機能を活用し、並びに当該機能によって異なる分野に属する情報を照合してこれらが同一の者に係るものであるかどうかを確認することができるものとして整備された情報システムを運用して、効率的な情報の管理及び利用並びに他の行政事務を処理する者との間における迅速な情報の授受を行うことができるようにするとともに、これにより、行政運営の効率化及び行政分野におけるより公正な給付と負担の確保を図り、かつ、これらの者に対し申請、届出その他の手続を行い、又はこれらの者から便益の提供を受ける国民が、手続の簡素化による負担の軽減、本人確認の簡易な手段その他の利便性の向上を得られるようにするために必要な事項を定めるほか、個人番号その他の特定個人情報の取扱いが安全かつ適正に行われるよう個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)の特例を定めることを目的とする。」

1センテンス400文字!こういう条文以外の書きぶりはないのでしょうか。箇条書き(柱書)とかのテクニックを駆使すれば、もっと読みやすい条文となるのではないでしょうか。

ところで、この法律には罰則がついています。そんなことはあり得ないでしょうが、もし、デジタル庁あるいは今後検査を受ける地方自治体などの職員が、「報告若しくは資料を提出せず、若しくは虚偽の報告をし、若しくは虚偽の資料を提出し、又は当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した」場合には、1年以下の懲役又は罰金に処せられます。

あるいは今後、具体的な被害が明るみでもなれば、国家賠償請求訴訟とかが起こされることだって考えられます。マイナカードをめぐる混乱、ゴタゴタ、スッタモンダはまだまだ序の口なのかもしれません。