第2次世界大戦で幸運にも死からまぬがれ復員してきた旧日本兵の中には、戦争のトラウマに引きずられながら落ちぶれていく人生を送る者たちが数多くいた・・・脚本家山本太一氏のドラマ「男たちの旅路」でも、特攻隊員の生き残りとして生きていく主人公(主演:鶴田浩二)の苦悩が描かれていまして、40年以上前のことでしたが、何度も涙しましたっけ。
雑誌「世界」9月号で、中村江理さんという上智大学准教授が寄稿された中に:
「復員兵の多くは、ほとんど戦争についての話をしなかったが、『壊れたテープレコーダーのように』戦時中の苦労話や英雄譚を聞かせる場合がある。その場合は、大抵酒を飲みながらであり、相手は子どもや妻、嫁に当たる女性、かつての軍隊内での階級が自分よりも下の者など、『自分の意のままに従うべき』と彼らが思いこんでいる人々である。」
私の父も、まさにそうでした。大正11年生まれ、陸軍に召集され、満州に配属、終戦間際、参戦してきたソ連の捕虜となり、5年ものシベリヤ抑留を余儀なくされました。
大酒飲み、酒乱、家庭内暴力、失業、単純作業の工場への転職、低所得、貧困、夫婦喧嘩、親族との断絶・・・あらゆるトラブルに見舞われ続けてきました。
私が中学3年生だった秋に、帰宅途中で交通事故死するまで・・・