国の調査によれば、65歳以上の単身世帯は740万世帯を超え、今後も増加の一途となる見込みとなっています。

そのような中、身寄りの人がまったくいなくて、あるいはいても断られてしまって、入院や施設入所の際の身元保証人をお願いできる人が見当たらないお年寄りが増加している状況にあります。

で、ニーズあるところにはビジネスチャンスあり、そんな身元保証を請け負ったり、死後の事務手続きを引き受ける民間サービスが増えてきたのは、当然のことでした。

そして、ここで必ずと言っていいほど問題となりますのが「玉石混交」、この業界に限らぬことですが、良心的な事業者がいる一方で、いかにして儲けるかそのことだけを狙った業者が、後から後から参入してくるというところにあります。

サービスを受けるのですからその対価は当然支払うことになるわけですが、その対価は業者によってまちまち。そして、得てして契約上の弱者となりがちな高齢者、一見すると良心的な価格体系となっていても、実際にサービスを受けた後、請求されるがままに料金を支払い、いわば「ボラれ」てしまうこともあるでしょう。

あるいは、サービスを受ける都度の事後支払いではなくて、預託金といって、あらかじめ納めたお金からサービスを受けるごとに利用料が差し引かれる方式のところもあります。この預託金方式、当然のことですが、死後には精算されなければなりませんが、おひとりさまが契約者であった場合、うやむやにされてしまうおそれが無きにしも非ず。悪徳業者に至っては、その預託金の私的流用を裏で繰り返し、最後には事業破綻した例もあります。

身寄りのないおひとりさまが相手、中にはかなりの財産を所有しているお年寄りもいることでしょう。そんな方との死後事務委任契約に際し、うまく丸め込まれて、事業者へ財産を遺贈するという遺言書をいつのまにか書いてしまって、亡くなっていったという例もあるようです。