1. 相続・遺言関係

はじめに

「遺言書」と聞くと、死が近づいたら書くものと思われるかもしれませんが、遺言書は「遺書」ではありません。
遺言書の内容は、あとで何回でも変更することができますので、お元気なうちにでの作成をお勧めします。
遺言書を作成しておくことで得られる最大の利点は、遺された家族や親族による遺産分割協議が不要になるというところにあります。

遺言書の種類

一般的な遺言書は「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」との2種類です。その主な長所・短所は、次のとおりです。

公正証書遺言

長所
  1.   原本を公正役場で保管するので、紛失や偽造は生じない。
  2.   公証人が作成するので、形式の不備等により無効となるおそれはほとんどない。
短所
  1. 相続関係人等利害関係者以外の証人を2名以上確保する必要がある。
  2. 公証人への報酬等の費用が発生する。 

自筆証書遺言

長所
  1. 自らが作成し、証人の立ち合いも不要なので、遺言の存在や内容を秘密にすることが可能である。
  2. 費用がほとんどかからない。
短所
  1. 紛失したり、偽造されたりするおそれがある。
  2. 遺言の形式等に不備があると無効となるおそれがある。
  3. 家庭裁判所へ提出し検認してもらわなければ、法的な遺言書としては認められない。

なお、この短所を補うものとして、次のような改正が行われました。

  1. 自筆証書遺言の方式緩和(令和2年1月)
    いままでは、本文・財産目録のいずれも自書する必要だったが、改正により、財産目録については、パソコン等による作成が可能となった。
  2. 法務局への保管制度の創設(令和3元年7月)
    遺言者が生前に法務局へ出向き、遺言書を保管してもらう手続きをとることによって、遺言者の死後、関係相続人が法務局に対して遺言書の交付を請求できるようになった。また、この制度を利用する場合には、家庭裁判所への検認手続きは不要となった。

この改正により、自筆証書遺言作成の機運が高まっていくことが期待されます。

2. 遺産分割協議

はじめに

遺産分割協議には法定相続人が全員参加することになります。連絡を取りにくい相続人や仲の悪い相続人がいても、必ず参加してもらう必要が生じてきます。

遺産分割協議を成立させるには、「全員が同意」しなければなりません。反対意見を出す相続人がいたら、遺産分割協議は成立しません。そうなりますと、最終的には家庭裁判所の「遺産分割調停」を利用しないと解決できなくなります。

調停で話し合っても合意できない場合には、「遺産分割審判」となって裁判官が遺産分割の方法を指定することになります。

特に不動産について

遺言書がなければ、相続財産は、被相続人が死亡した瞬間に法定相続人全員が法定相続分の割合で共有しているとみなされますから、遺産分割協議が未了の不動産を売却しようとする場合には、共有者(相続人の相続人等)全員の合意が必要となってまいります。

共有持分そのものは、各自が単独で売却することが可能ですが(例えば10分の1など)、現実的にはその持分を買いたいという人はまずいないでしょう。

ひとこと
共有持分を専門的に買い取る不動産業者が存在します。
彼らは流通性のない共有持分を安値で買い取り、他の共有者へ高値で売却したり、他の共有者からも安値で買い取って土地の全部の所有権を取得して他者へ高値で売却したりして、利益を上げることをビジネスにしています。
どうかお気を付けください。

遺産分割協議が整わないまま、すなわち、不動産の共有を続けたままにしておきますと、1人1人の共有者に固定資産税がかかります。

その中で税金を納めない人が出てきますと、共有者とみなされる相続人全員に対し、延滞税の支払いも求められ、あるいは、税が未納のままですと、差押処分が出されることにもなりかねません。

さらに、より深刻な問題として、きちんと管理していなかったために壁や屋根が崩落して、通行人にけがをさせたり自動車などを破損させたりしましたら、無過失責任で共有者全員が損害賠償しなければならなくなります。

したがって、不動産の相続に関しては、不動産を相続しない相続人には預貯金等不動産以外の遺産を相続してもらうなどとして、早急に遺産分割協議を行い、不動産の名義変更を行うべきであると思います。

3. 相続人調査、相続財産調査

相続手続きを進めるためには、「法定相続情報一覧図」の作成が必須となるために、被相続人が生まれてから死亡までの戸籍謄本や住民票の除票、法定相続人全員の戸籍謄抄本を取り寄せる必要があります。

また、固定資産評価額、不動産の登記の状況、預貯金等の照会・関係書類の入手も求められてまいります。ご依頼に応じて、それらの調査を実施いたします。

報酬

公正証書遺言作成サポート10万円
自筆証書遺言作成サポート6万円
証人就任1万円
遺産分割協議書作成サポート10万円
相続人調査・相続人関係図作成サポート相続人5人まで5万円
6人目からは相続人1人につき
5,000円を加算 
相続財産・相続財産目録作成サポート5万円

※調査に要する交通費などの実費は別途お支払いいただきます。
※公正証書遺言の場合は公証人に支払う報酬、実費が別途必要となります。
※上表の金額は消費税込みの金額で、報酬は定額制といたしました。依頼内容が極めて複雑・高度の場合には、事前協議の上、報酬額を変更させていただく場合があります。

4. 成年後見手続き関係

かつて、禁治産者・準禁治産者という制度がありましたが、西暦2000年に民法が大きく改正され、以下で構成される成年後見制度へと変更となりました。

法定後見は、家庭裁判所の審判を経て開始されます。
任意後見は、本人を含む当事者の契約をもとに、家庭裁判所による任意後見監督人選任の審判という手続きを経て開始となります。

いずれにしましても、家庭裁判所への各種申立書類の作成・提出が必要となります。

報酬

任意後見契約公正証書作成サポート8万円

※公証人に支払う報酬、実費が別途必要となります。

家族信託

信託法は、成年後見制度がスタートした平成12年から遅れること7年、平成19年に大改正されました。それまでは主に信託銀行による商事信託を主眼とした法律でしたが、この改正によって民亊信託とりわけ家族への信託が利用しやすいものへとなりました。

その背景には、超高齢社会を迎えるわが国において、一人暮らしの高齢者ですとか、認知症の進行によってものごとの判断能力の低下が心配される方々の財産を守るための制度設計が重要な政策課題となったからでした。

その処方箋として、まず国が整備したのが成年後見制度でした。
次いで、遅れること7年、家族信託制度が導入されました。

さて、成年後見制度につきましては、すでに別ページで触れさせていただいております。
ここでは、家族信託について、成年後見制度と対比しながら申し述べてみたいと思います。

法律が用意している高齢者の権利擁護対策は、次の2点に集約されます。

  1. 財産管理
  2. 身上保護(かつては「身上監護」という言い方をしていました。)

このうち、家族信託はのみ、それも、その高齢者の判断能力が「後見」や「保佐」を必要とするまでには至っていない場合だけです。もし、「後見」や「保佐」が必要であると家庭裁判所が審判を下しますと、もはや、その高齢者には信託契約は結べなくなりますので、成年後見人・保佐人を立てるしか方法はなくなってしまいます。

また、17、8年前あたりから、銀行の窓口では、上述の家庭裁判所の審判とは無関係に、その高齢者が「認知症」であると見るや、直ちに預金口座を凍結する運用を始めたところが多くなりました。

本来、「認知症」≠「後見」、「保佐」なのですが・・・同じころから司法書士も、認知症と思しき高齢者から他者への所有権移転登記には慎重に取り扱うようになったとのことです。
こうなってしまうと、成年後見制度の手続きを経て、就任した後見人等に預金口座凍結解除とか不動産所有権移転登記申請を行ってもらうしか方法はなくなります。

次に、2身上保護、これは、その高齢者のための

  • 住居の確保、生活環境の整備
  • 家賃、固定資産税の支払い。家の増改築契約要介護認定の申請、行政からの不利益処分があった場合の不服審査の請求
  • 介護サービス利用契約、費用の支払い
  • 介護施設の入退所契約、施設の処遇チェック
  • 診療契約、医療費の支払い

などを行うことであり、これらは、家族信託の対象外となりますので、成年後見制度によって行うことになります。

要約しますと、家族信託は、父母、祖父母等の家族が「認知症等に罹って預金の引き出しができなくなる・財産の管理ができなくなるということに備え、まだ判断能力があるうちに」結ぶ契約(信託契約)です。

さて、成年後見制度のデメリットとして、次の点が挙げられます。

  1. 家計裁判所への申立て、その審判を受ける必要がある。
    <申立に必要な書類>
    後見・保佐・補助開始等申立書、代理行為目録、申立事情説明書、親族関係図、財産目録、収支予定表、後見人等候補者事情説明書、親族意見書、本人情報シート、診断書(成年後見制度用)、診断書附票

    <審判までに要する期間>
    書類が受理されてから、およそ2か月間。管轄家裁の繁忙によって多少前後する。
    なお、医師による診断書が不十分であるということで鑑定が必要となった場合には、さらに2~3月を要する。
    ※私はかつて、友人から頼まれて、重い精神疾患の弟さんに成年後見人を立てる審判申立のサポートをしたことがありました。弟さんの人権にかかわる事柄ですから当然なのですが、この申立て手続きはかんたんなものではありません。
  2. 親族が申し立てた場合、その親族が後見人となれるとは限らない(統計では2割程度。8割が弁護士、司法書士、社会福祉士あるいは行政書士といった専門職が裁判所の職権で選任されている)。
  3. 専門職が後見人に選任された場合には、裁判所が決定するが、公表されている報酬額の目安によれば、月額2万円以上の報酬が発生する。被後見人が保有する財産価額が大きい場合には月6万円となるケースもある。
  4. 一度、後見人が選任されると、裁判所の許可を受けての交代はあっても、被後見人が死ぬまで後見人制度は継続されるのが原則となっている。従って、専門職が選任され続ける限り、上記の報酬を支払い続けていくことになる。
  5. 後見人は、被後見人ファーストで財産管理を行う。即ち、被後見人本人の財産は原則として本人のためにしか使えなくなる。例えば、孫への教育費贈与としてある程度まとまったお金を援助してもらいたいと家族が望んでも、OKか否かの判断権は後見人にあるため、「ほぞをかむ」思いをする家族が多い。なお、後見人は年1回家庭裁判所へ財産管理に関する報告を行う。そこで、家裁の担当官から指摘されてはかなわないので、厳しい判断を行う傾向となる。

で、実際にどういうことが起きているかといいますと、成年後見は、使い勝手が極めて悪いので、なるべく使わないという選択が世に広まったのでした。成年後見制度は、家族等による認知症高齢者の財産の使い込みという悲しい実態が相次いで明るみになっていく中で、それをくい止める、被後見人の権利を擁護していくという視点が優先されて、制度設計が行われました。でもそれは、家族等への金銭援助や贈与を抑え込む制度ともなってしまったのです。

さて、私ならどうするか・・・

繰り返しになりますが、重い認知症に罹り、ものごとを判断する能力がなくなってしまってからでは、家族信託は使えません。そうなる前に、私は、自らを「受益者」として、私の子どもの中から誰かを「受託者」にした家族信託契約を結ぼうと思っています。

信託にすれば、預金口座は「信託(ぐち)口座」という名称がついたものとなります(なお、家族信託のための信託口預金口座を開設してくれる銀行は、現時点では、メガバンクでは三井住友銀行のみ、ネット銀行ではオリックス銀行、その他地方銀行で数十行となっています)。

また、不動産を信託する場合には、信託財産である旨の登記が行われます。そういった仕組みによって、受託者が使い込み等の不正は行えないとされておりますが、私は、念のため「信託監督人」や「受益者代理人」も立てておこうとも思っています。                 

5. 合同会社、NPO法人等の設立関係

合同会社

平成17年に会社法が制定され、会社形態は、次のようになりました。

いまでも「有限会社」を標榜している会社をごくたまに見かけますが、それは平成17年の会社法施行前から設立されていて、変更しない選択を選んだ会社です。

さて、小規模な個人営業をしている方(例えば、美容室、八百屋さん、飲食業など)が、会社を設立しようとした場合、どの形態の会社がいいでしょうか?

断然、合同会社がお勧めです。理由は、「安く、早く」、「リスクが少ない」からです。

  1. 「安く、早い」のは
    (1)株式会社では必置機関となる取締役や株主総会が不要となるため
    (2)定款作成は必要であるものの、公証人による認証は不要であるため 
  2. 「リスクが少ない」のは
    合名会社や合資会社には「無限責任社員」が必要となるが、合同会社では出資金だけの責任で済む「有限責任社員」のみで構成されるため

なお、合同会社は小規模な会社だけではありません。例えば、米国に本社がある日本法人(アップルジャパン、アマゾンジャパン、西友:ウォルマート子会社)などは、合同会社です。

子会社とはいえ大規模に事業展開している会社ですが、親会社が経営方針を決めることから、なまじ取締役会や株主総会とかは置かない方が迅速に動けますので、合同会社にしています。

ちなみに、全国でこの4形態の会社がどれほどあるかにつきまして、国税庁による「会社標本調査」からのデータのうち、平成28年度末と令和2年度末のものを比較しますと

株式会社合名会社合資会社合同会社
平成28年度末 (a)2,490,4793,87618,34948,807
令和2年度末 (b)2,568,1093,35212,967133,890
増減倍率 (b/a)1.030.860.712.74

合同会社が突出して増加していることがわかります。私が合同会社に絞って会社設立サポートを行うことといたしましたゆえんです。

NPO法人

営利性(事業で得た利益を分配すること)を目的としない組織を立ち上げようとする場合には、NPO法(特定非営利活動推進法)に基づく認証を受けて、NPO法人を設立して事業を展開していく方法があります。

また、別の法律に基づいて公益財団法人や公益社団法人を設立するという方法もありますが、私は、NPO法人に絞っての設立支援をさせていただくことといたしております。

設立の準備、書類作成、認証申請、法人登記と手続きは多岐に及びますが、円滑な設立に向けて、サポートさせていただきます。

報酬

合同会社設立サポート8万円
NPO法人設立サポート12万円

※調査に要する交通費などの実費は別途お支払い戴きます。
※公証人に支払う報酬が別途必要となります。
※上表の金額は消費税込みの金額で、報酬は定額制といたしました。依頼内容が極めて複雑・高度の場合には、事前協議の上、報酬額を変更させていただく場合があります。

6. ビザ(在留資格)の申請について

1. 在留資格認定証明書の手続き

外国から日本に呼び寄せるための手続きです。
例えば、

  • 国際結婚をしたので、配偶者を呼びたい
  • 海外にいる外国人を採用したい

などがこれに当たります。

2. 在留資格の変更手続き

日本にいる方の活動内容が変わる場合の手続きです。
例えば、

  • 大学を卒業して日本で就職するなど(留学 → 技術・人文知識・国際業務)
  • 日本人と離婚した、死別した(日本人配偶者等 → 定住者)

などがこれに当たります。

3. 在留期間更新の手続き

日本にいる方の活動内容は変えずに、在留期間の更新を行う場合の手続きです。

4. 永住許可申請手続き

日本に永住するための手続きです。
例えば

  • 長く日本に居るので永住にしたい
  • 日本の不動産を購入したいので永住権がほしい

などがこれに当たります。

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