先日、性犯罪規定を見直す刑法などの改正案が閣議決定されたようです。第177条の強制性交等の罪を「不同意性交罪」とするなどといった改正です。これは、与野党対立法案ではありませんので、今国会で成立することでしょう。

 ところで、現行の、この条文の書きぶりは、かなり「えぐい」です。曰く「13歳以上の者に対し、暴行または脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期拘禁刑(昨年の法改正により「懲役→拘禁刑」へ変更)に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。」

 こういう書き方になってしまうのは、罪刑法定主義の大原則の下、法律で具体的に定める必要があるため、とされています。

 したがいまして、例えば、被害者の手や股間、乳房に陰茎をあてがい、性的欲望を遂げた者には、本条は適用できず、前条(第176条)を適用することになるようです。曰く「13歳以上の者に対し、暴行または脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の拘禁刑に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。」

 判例では、このわいせつな行為の中には、キスも含まれるそうです。13歳以上の者に対しては暴行または脅迫を用いて、また、13歳未満の者に対しては暴行や脅迫なしであっても、キスをすると本罪が適用されることになります。

 強姦事件が発生し、幸いにも容疑者を逮捕できた場合であっても、どこの部位でその被害を受けたのか、それによって罪状が異なってくるわけですから、聴取を受ける被害者にとっての精神的負担・苦痛は、いかばかりかと思います。