地域後見推進プロジェクト(東京大学教育学研究科生涯学習論研究室と地域後見推進センターによる共同事業)によれば、

令和4年現在において、成年後見制度を利用している人は約24.5万人に過ぎず、潜在的な後見ニーズ(判断能力が不十分とみられる人の総数:推計1,000万人)のわずか2%を満たしているに過ぎません。また、最高裁事務総局家庭局が毎年発表している「成年後見関係事件の概要」を見ましても、平成30年12月末現在の成年後見制度利用者の総数が218,142人であるのに対し、4年後の令和4年12月末現在では245,087人と12.4%の増加となっていますが、年率換算では3.1%のアップに留まっています。

国において「成年後見制度の利用の促進に関する法律」を制定し、2次にわたる利用促進基本計画を立てて制度の普及を図っているにもかかわらず・・・

それはなぜなのか?                                                                   「判断能力が不十分とみられるおよそ1,000万人」の財産を守り、権利を擁護していく仕組みとして成年後見制度は設計されました。人権に関わることですから、家庭裁判所が「審判」という形で関与します。また、開始となれば家庭裁判所に対して義務付けられた報告があり、その許可が必要なケースもあります。そして、弁護士等の専門職にそれらの書類を作成依頼するとなれば、当然のことですが、報酬がかかります。

要するに手間・ひまがかかり、その負担を減らすために専門職に頼むとなればカネがかかるそういう制度なのです。しかも、成年後見が開始されれば、その方の財産は、原則、その人のためにしか使えなくなります。

ということで、家族とすれば、できることなら使いたくない制度となっています。多くの場合、ニッチモサッチモいかなくなってから渋々申立てを始める制度となっています。

なお、近日中に、私のWebサイトの「業務内容・料金」のページの「4.成年後見手続き関係」の末尾でもう少し詳しく書いた記事を載せたいと思っています。