ビートルズのこの歌は、「①アリゾナのツーソンから、カルフォルニアの葉っぱ(大麻)を求めてやってきた男JoJo、②かわいい女になりすましているけど、実際はただの男Loretta Martin に対して、Get Back(帰れ)」という内容の歌詞になっています。

昨夜、サブスクの「Disney+」で「Get Back」を視聴しておりまして、この歌の題名は、当時、英国内で頻発した移民排斥運動のスローガンにひっかけて取ったものであることがわかりました。この運動は、中東やアフリカからの移民に対してGet Backを声高に叫ぶものでしたが、彼らはこれをアメリカとかに住むイカレタ男たちへのGet Backへと変えた歌詞にしました。

彼らは、若いころからレイ・チャールズやチャック・ベリーをはじめとする黒人音楽やJazzの影響を受けてきたこともあってでしょう、次の記事に書かれているように人種隔離政策を嫌悪しました。「ビートルズは‘64年9月11日にフロリダ州ジャクソンビルのゲイター・ボウル・スタジアムでの公演を予定していた。しかし、同スタジアムが人種によって客席や通路を隔離していたことから、ビートルズ・サイドの対応が注目されていた。『受け入れがたいね。バカげている』とポールは当時の記者会見で発言。他の3人も、有色人種を隔離するというのならば、そのコンサートには出演しないと断言した。その結果、客席を人種によって差別しない初めての大規模コンサートとなった。そして、米国南部の大規模な公演会場は人種隔離政策を撤回していくことになるのである」

まだ20歳台前半の、超人気アイドルにして、音楽に天賦の才を持ち合わせた彼らが、人種差別問題について、はっきりと「ノー」を表明したのでした。このビデオ収録の中でも、かの、暗殺されてしまったキング牧師をリスペクトするジョンの発言が何度か出てきますし、キング牧師が発した有名なフレーズ「I have a dream」にも即興のメロディをつけて歌ったりもしています。

人種差別をめぐる対立が激しかったあの時代に、人種差別を「受け入れがたい」と言い切り、人種隔離する会場では出演しないと宣言する・・・その勇気は半端じゃないと思います。そして、5年余りの後、バンドを解散する間近となっても、移民排斥運動をこき下ろす歌を仕上げたということだったのですね。

このビデオを観ていまして、もう一つ感嘆したのは、彼らが曲を仕上げていく過程では、音符は一切使わず、歌詞とコードをやり取りするだけだということです。それも、口述によってやり遂げてしまいます。自宅から持ち寄ったメロディ、当日その場で思いついたメロディを誰かがギターかピアノで弾き始め、他のメンバーがそれに肉付けしていく。もちろん、そうすんなり出来上がっていくわけではなく、「そこは違う、こうだ」との注文が入る。別の番組でポールが語るところでは、「先祖の地スコットランドでは、歌は口述で世に残っていく。僕らもその影響を受けて育ってきた。だから同じように作ってきたのだし、これからもそうする」