同性どうしの結婚が認められていないのは憲法に違反するとして、北海道に住む同性のカップルが国を訴えた裁判で、2審の札幌高等裁判所は、憲法では同性どうしも異性間と同程度に婚姻の自由を保障しているという踏み込んだ判断を示したうえで、今の民法などの規定は憲法に違反すると判断しました。2審で憲法違反と判断されたのは初めてだそうです。

現在、同性婚を選択した場合、婚姻届けは受理されないため、

①所得税の配偶者控除が受けられない

②パートナーが死亡した場合、配偶者としては認められないため、法定相続人にはなれない。遺族年金の支給対象とはならない

③子育てをしている場合は、共同で親権を持つことができない

④病院で家族と認められず、パートナーの病状について説明を受けられない場合が多い

といった不利益を被っています。

憲法の関係条文をお示ししておきます。

第24条第1項

 婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が平等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

同条第2項

 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

で、今回の判決趣旨です。

「憲法24条1項は文言上両性間の婚姻を定めているが、個人の尊重がより明確に認識されるようになったとの背景のもとで憲法24条を解釈することが相当である。憲法24条1項は、婚姻をするかどうか、いつ誰と婚姻をするかについては、当事者間の自由かつ平等な意思決定に委ねられるべきであるという趣旨を明らかにしたものであり、このような婚姻をするについての自由は、同項の規定に照らし、十分尊重に値する。憲法24条2項は、婚姻及び家族に関する事項についての立法に当たっては、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚すべきと定めている。そうすると、性的指向及び同性間の婚姻の自由は、個人の尊重及びこれに係る重要な法的利益であるのだから、憲法24条1項は、人と人との間の自由な結びつきとしての婚姻をも定める趣旨を含むものであって、異性間の婚姻のみならず、同性間の婚姻についても、異性間の場合と同じ程度に保障していると考えるのが相当である。」

同性婚を選択した人たちが被っている不利益を考えますと、私は法律改正を行うべきであるという考え方に賛成します。

ですが、「両性」と明記してあるのですから、男女であることは間違いないのではないでしょうか。英語表記では、the both sexes となっています。そもそも憲法制定当時は、同性間の結婚など想定されていなかったのではないでしょうか。

日本国憲法のベースとなったマッカーサー草案では; Marriage and the family are protected by law, and it is ordained that they shall rest upon the undisputed legal and social equality of both sexes, upon mutual consent instead of parental coercion, and upon cooperation instead of male domination. また、その邦訳では;婚姻ハ男女両性ノ法律上及社会上ノ争フ可カラサル平等ノ上ニ存シ両親ノ強要ノ代リニ相互同意ノ上ニ基礎ツケラレ且男性支配ノ代リニ協力ニ依リ維持セラルヘシ となっています。

知る権利でありますとか、環境権、個人情報保護といった権利は、憲法に明記されてはいませんが、第13条(幸福追求の権利)その他の条文から導かれて確立されてきました。すばらしい進歩だと思います。

しかし、憲法24条1項は「両性の合意のみ」と定めており、文言をストレートに解釈すれば、「その条文によって同性婚を保障している」とするのは無理があると思えてなりません。私はそう思います。あえて言わせていただければ、判決は詭弁のようにも思えてきます。

高裁判事という、法律家のトップ層が考え抜いた解釈に異を唱えるなどおこがましいことですが、おかしいものは、おかしい。

繰り返しますが、同性婚に反対なわけではありません。堂々と、「両性」という文言を改正すればいいのです。世にはびこる第9条改正運動には一切与せず、第24条改正運動を起こすのです。