文部科学省が10月4日に発表した「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」によると、小・中学校における不登校児童生徒数は29万9048人。前年度から5万4108人(22.1%)も増加し、過去最多となりました。

不登校とは、「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しない、あるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」となっていますので、年間では29日以内の子、貧しい家庭環境の子、行き渋りといわれる子どもたちも含めると、実際、どれだけの数の子が、学校へ行っていない状況なのか、統計としては出てきません。「近所の誰れ誰れが行かなくなったみたいだよね。」、「うちの子が行かなくなってしまって」というのを見聞きする限り、5,60万人近くの子が不登校状態なのではないかと、皮膚感覚レベルなのですが・・・

なんとか学校へは行けても、「教室に入れない、あるいは入らないと決めている」子どもたちも少なくないのだとか。その理由として、先生が嫌だ、友だちが嫌だ、授業がつまらない というのであれば、ま、分からないわけでもありませんが、「今の学校は、同じ硬い椅子に子どもたちを無理やり座らせようとしていて、多様な子どもたちに対応できていない」元高校教師で、今は不登校専門家として活動している方はそう分析しています。

その方は、先生の役割についても「そもそも1人で40人近い生徒を見るには、講師としてのかなりのスキルと高度なマネジメント力が必要だけれど、教員はそんな教育を受けて教師になっていない。しかも小学校の先生はどの教科も教えなくてはいけないうえに、英語やプログラミングまで乗ってきた。どんなに学んでも、学んでも追いつくはずはなく、そのうえ保護者対応や事務処理までこなすことが求められる。どれだけすごい人材を求めているのかと言いたい」と力説しています。

別の識者は、「『不登校』という言葉は子どもたちの人権を蔑ろにしているのではないか。在宅選択・登校選択の自由という言葉に置き換えてはどうか」と提言しています。

ちなみに「不登校特例校」が「学びの多様化学校」と名称変更されました。

この「不登校」というネガティブな印象を与える名称を、学校へ行かない選択をしている子どもたちの気持ちに配慮した名称へと変えることができたとき、その対策を抜本的に変えていくきっかけとなるのかもしれませんし、そうあってほしいと念じてやみません。