経済プレミア編集部(毎日)が2月12日に報じていたところによれば・・・

「すでに、2010年からコンビニで住民票や印鑑証明書などを取得できる『コンビニ交付』サービスが始まり、2024年2月6日現在、全国の約7割の市区町村で、マイナンバーカードを使って申請や受け取りができている。2024年3月、改正戸籍法が施行され、全国の戸籍情報を連携するシステムの運用が開始となり、各市区町村と連携することによって本籍地以外の市区町村でも戸籍証明書が取得できるようになる。」と報じられておりました。

 もし、そうなれば、例えば、相続手続きにおきまして、手間が大きく削減されます。

 相続が発生すると、相続登記や金融機関口座の名義変更などの手続きに際しまして、法定相続人を確定するため、亡くなった人(被相続人)については出生から死亡まで、相続人全員については現在の戸籍証明書をそろえる必要がありました。被相続人が何度も本籍地を移しているケースでは戸籍証明書を集めるのもたいへんな作業となります。それがワンストップで済むのです。

 ですが、3月も5日を過ぎ、その運用開始後のことが新聞等ではなぜか、報じられておりません。で、気になって、私が住む市役所の戸籍係へ電話をかけて聞いてみました。「トラブル続きで『被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本』が印刷できない例が全国各地で続出していて、当面、従来の手続きをとるようお願いしている」とのことでした。

 従来、戸籍謄本取り寄せがたいへんだということで、それが、行政書士や司法書士への依頼へとつながってきた側面がありました。近いうちに、この、戸籍証明書の広域交付は、トラブルを克服して広くあまねく定着していくことでしょう。ということは戸籍謄本等の取り寄せを契機とする仕事依頼は減ってくるわけです。ITやDXの流れに抗することは誰にもできません。私たちのような士業は、常に知識をアップロードしながら、コンサルティング業務に精通するような人材になっていかなければ、この業界で生き残っていくのは難しいことでしょう。